Franz Strohmeier 2023.Jan

Franz Strohmeier 2023.Jan

                       

2023年1月、オーストリア、シュタイヤーマルク州、フランツ・シュトロマイヤーの蔵元を単身訪問してきました。

オーガニック大国のオーストリアの中でも抜き出た孤高の生産者達が集まる、
小さなリージョンながらも近年最も人気の高い生産地の1つ。

当主のフランツは2017年に夫婦で初めて日本に来日。
日本滞在の期間中ほとんど一緒にいたのですっかり仲良くなり、それ以来連絡を取り合うようになりました。
長年の思いがやっと叶い感動の再会です…



オーストリア第2の都市、グラーツから車で約30分、サンクトステファン村。標高430mにあるフランツの自宅。
起伏のあるのどかで美しい丘が連なり、家からの景色もまさに絶景…



フランツの暮らしから。
ベジタリアンのフランツの食生活はいたってシンプル。
無農薬の自家栽培の野菜に自家製のオリーブオイルとハーブ塩でシンプルに仕上げる料理。
レシピを聞いても分からないというフランツが作るカレーは本当に美味…
夏に収穫した野菜は巨大フリーザーへ保存、トマトやパプリカはソースにして瓶詰め。
雪の降る中でも元気に育っている野菜も沢山あり、食事の直前に収穫して食卓へ。


フランツの家から歩いて10分ほどの場所に実家があり、すぐ傍にはフランツがお父さんから譲り受けた3haの畑が広がる。
1975年植樹のシュタイヤーマルクの土着品種、ブラウワーヴィルトバッハー。
無農薬無肥料なのはもちろん、
訪れる人の誰もが驚く、ほとんど剪定すらしていないまさにジャングルのようなヴィンヤード…
ぶどう木の間にはクルミの木やリンゴの木がある。
実家すぐそばの畑は約3haの内、ぶどうは2.3ha、数えきれないほど多種多様な野菜やフルーツが0.8ha。

フランツが言っていた、栽培において一番大切なのはバラエティーがあること。
生命の種類、たくさんの動物が1つ畑にあることが大事。

「本来は害であるベト病も、また微生物、きのこ、小動物、小動物を狙う動物、全てが一体化してること
1つの生命体が何かの存在を犯すことがないよう自然体の畑を求めてる
害を1つでも取り除くことによって、それが必要な生命体がなくなってしまいバランスが崩れてしまう。
植物性、動物性の生命体のバランスすべてをリスペクトすることによって畑は成り立っている。これが最も大事なこと。」
畑にやってくる動物は鹿やウサギ、トカゲなど。
モグラはミミズを食べ、土を耕してくれている。そしてキツネや鳥がモグラを狙っている。



畑のさらに下には自作の池に、21年のコロナ禍にフランツが一人で作った薪ストーブのサウナ!



バッドガムというエリアにある3つの異なる畑へ。気温10℃、自宅より8kmの場所。
畑上部から下部までは100m、傾斜は大きいところで50度ある。
シカの足跡がたくさん。冬は草を食べにくるそう。

↑フランツの右腕ウォルター

畑にはキラキラ光るカットシルバーの石があちらこちらに。レイヤー状なっていて手ではがれる柔らかさ。
フランツの畑はツェッペらの畑(オポック)とはかなり土壌は異なっていて、石灰質はゼロ。
主にロームと粘土質土壌から成る。バッドガムの土壌は表面に石が出ている箇所も多い。
奥に見える山はスロヴェニアとの国境。

↑収穫前の夏の写真


フレッシュなにんにくの葉がそこらじゅうに生えていて、摘んでスープに使ったりしている。
タンポポを見つけてはそのままパクリと食べるフランツ。



2月に入り、フランス、ソーミュールで開催される自然派ワインのイベント『ラ・ディーブ』に参加する為、
オーストリアから8時間のドライブでアルザス地方に。1つ星レストラン「Thierry Schwartz」で食事。
翌日、開催地であるロワールへ。

フランツの長年の友人であるエワルド・ツェッペ(ヴェルトリッチ)、セップムスターと現地で合流。
老夫婦が経営する可愛らしいコテージに一緒に滞在。

2月4日、5日はラ・ディーブ・ブテイユにて、フランツの試飲ブースのお手伝い。
イベントはフランスを中心に約200蔵元が参加。オーストリアからは8蔵元。
フランツのブースは常に大勢の人に囲まれ、大忙し。
試飲にくる人は国別では圧倒的にアメリカが多く、次にフランス各地のワイン関係者、生産者。カタルーニャ勢も多かった。



そして前職時代に関わりのあった生産者も多く参加していて感激の再会!
みんな元気そうで、変わらず美味しいワインを造っていて嬉しかった…



ドイツのアウトバーンを200kmでぶっぱなし、オーストリアへ戻り、セラーにてテイスティング。
22年ヴィンテージのアッサンブラージュの樽決め、ボトリングのタイミングを決めていく。22年は、21年につぎ、フランツも納得の出来!アッサンブラージュ前ですでに感動の味…


11000本のスパークリングワインをボトリング、ラベル貼り、パッキング。ボトルを機械にセッティングする作業や、パッキングをお手伝い。


発酵は約2週間、地下のセラーの一室の温度を少し上げ、そこでストレージ。リリースまで1ヶ月半予定。


夜にはバレル洗浄のお手伝い。



20歳になる末娘ラモナちゃん(奥)

長男サイモンがスイスから来て一泊。
一緒にワインをテイスティング。

翌日は3人でオーストリア第二の都市グラーツへ。



2月も終盤、最後に訪れたのは自宅から車で3時間、フランツのオリーブガーデンのあるクロアチア。サンロレンツォというアドリア海沿いまで1kmの場所。
2年前に購入した土地でオリーブは樹齢150~200年。
昨年初めて収穫したが、まだかなり少ないのでせいさんは自家用のオリーブオイルのみ。

↑今年収穫したばかりのオリーブ。昨年と収穫量は同じ。

オリーブの他にアプリコット、プラム、リンゴ、チェリーの木もある。

~フランツの今後~
オリーブオイルの生産量を増やしていきたいのと、果実(レモンやオレンジ)の生産に挑戦してみたいそう。
レモン、オレンジはシュタイヤーマルクでは難しいので暖かい場所で過ごしたいという思いも。
海が好きなフランツはクロアチアでの滞在も増やしていく予定。


標高1000m、雲の上のスキー場にて


あっというまの1ヶ月の滞在。
ワイン造りだけでなく、生き方や暮らしなど多くの事をフランツから学びました。
帰国後も連絡を取り合い、秋田での野菜の栽培やDIYなど多くのアドバイスをもらっています。

オーストリアで一緒にアッサンブラージュをした、22年ヴィンテージのワインが入荷したばかりです。
生産量が少ないながらも、贅沢にも全キュヴェ入荷しました!
奇跡的に残っていたバックヴィンテージも!
(前職のインポート会社BMOさんには感謝しかありません…)
一部、限定キュヴェはオンラインショップに載っていませんが、ぜひフランツのワイン1人でも多くの人に試してもらえたらと思います。

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